ASDの人は特性によって差はありますが、一方的に話し続けてしまう要素を持っています。
受動的なタイプの方も関係ないと思わず、原因と対策を知っておくと今後の生活にきっと役立つでしょう。
原因
- 興味の幅が狭く深い
これはASDの診断基準にもありますが、興味の湧く対象が非常に限られているため、他者との共通点が少なくなり、会話のキャッチボールが成立しない事に繋がります。
- しゃべりながら相手の様子を見る(複数のタスクを同時に行う)のが不得意
ひとつのことに集中してしまうので、話しながら相手のことも見る、そして相手の内面を推察し自分の言動や行動を微調整することがなかなか上手くできません。
- 相手の様子を察することが苦手
感覚が独特なので「相手も自分と同じように感じているだろう」というとらえ方をして配慮をしたつもりが、相手にとっては真逆の結果になってしまう場合があります。
また、自他境界があいまいな場合も多々あり、「自分は楽しい。ということは相手も楽しい」という感覚が無意識にあり、様子を察することをさらに難しくしている場合もあります。
- 相手の表情から感情を読み取りづらい
ASDの人は表情を作ることも苦手ですが読むのも苦手です。
幼少期から親の顔を見ないと言われていますが、顔を見ることに圧迫感を感じていたり、顔を見ることが必要なことだと思っていないなどのことが考えられます。表情を見るときに使う脳の部位があまり働かないからだという研究もあります。
- はっきり言われないことに対する重大性を低く見積もりがち
言語によるコミュニケーションが得意で大切にしているため、非言語によるコミュニケーションの価値をかなり低く見積もっているところがあります。
そのため、自分が話している最中に相手が顔をしかめていたとしても「その話題には興味がない」「そろそろ帰りたい」など具体的に言葉で伝えられない限り、相手が不快な感情を抱いているかどうかを考える発想が芽生えないのです。
ASD者側の対策
- 一方的にしゃべらないように意識する
意識しても最初はできないかもしれませんが、意識することがスタートです。
自身のしゃべり過ぎに気づいたら「あなたはどうですか?」のように相手が話せるようなパスを出しましょう。
- 相手の様子をうかがう質問をするよう心掛ける
「話過ぎてます?」と聞いてみましょう。
また「話過ぎちゃってすみません」と申し訳ない気持ちと相手への気遣いの気持ちを伝えることも大切です。
- 相手とのやり取りの中で自分のアプローチを微調整する
相手が楽しんでなさそうな場合、その話題を続けるのはやめましょう。
ASDの特性があると「変更する」ことはかなり難易度が高いかもしれませんが、コミュニケーションには微調整がつきものだと心に留めておきましょう。
支援者側の対策
- あいまいな反応や掘り下げる質問をしない
あいまいさは日本人にとっては美徳でもありますが、ASDの特性がある人との会話においてははっきりと言うことが一番大切です。
また、あいまいに相槌をうったり、話に乗っかっているといつまでも終わりが見えません。
こちらも楽しんでいると誤解を与えてしまい、トラブルの元ともなります。
定型発達同士のコミュニケーションだとキツく感じるかもしれませんが、メッセージは明確に「その話にはあんまり興味がないんだ」「ごめん、その話題には詳しくないから、言わんとしていることは分かるけど面白さが分からない」のように伝えたほうがASDの人にとっては受け取りやすく、「言ってくれてありがとう」と感謝されることもあります。
- 客観視できるようアプローチをする
ASDの人は自力で客観視することは苦手ですが、人からの指摘を受ければ気づけることも多くあります。
「5分も一人でずっと話してたよ」というように具体的な数字を用いるなどして次の行動へうながすと良いでしょう。
まとめ
ASDの人が一方的に話し続けてしまう原因と、本人、支援者それぞれの対策を見てきましたがいかがだったでしょうか。
目に見える現象としては「一方的に話し続ける」というシンプルな事ですが、様々な特性が原因にあり、それらが重なって結果になっていることが分かったと思います。
それに伴って、対策も様々あり、改善がすぐにできるものではないかもしれませんが、日々地道にやっていくことが大切です。
また、最後になりましたが、一方的に話し続けてしまうからダメというわけでは決してありません。
「自分は話すのが苦手で聞いているほうが楽」という人もいますので、そういう方と話をする場合は良い時間が過ごせるかもしれません。最終的には相性次第と言えるでしょう。