ASD(自閉症スペクトラム)の人が思ったことをストレートに言う原因。本人、支援者それぞれの対策とは(後編)

ASDの特性。原因と対策

今回は『ASD(自閉症スペクトラム)の人が思ったことをストレートに言う原因。本人、支援者それぞれの対策とは(後編)』となり、ASDの人と支援者それぞれの対策を見ていきます。

前編で原因について書いていますので、下記リンクからそちらを先に読むことをオススメします。

ASD(自閉症スペクトラム)の人が思ったことをストレートに言う原因。本人、支援者それぞれの対策とは(前編)

ASDの人は思ったことをストレートに言うのでKY(空気が読めない)と言われたり、相手の気分を害してしまい人間関係が上手くいかない一因になってしまっているかもしれません。

対策をしっかり学ぶとともに、それぞれの価値観についても考えるきっかけにしてもらえればと思います。

ASD者側の対策

  • 自分が同じことを言われたらどう感じるか考える

そうは言っても、「同じことを言われたとしても自分はなんとも思わないし、むしろ有難く感じるかも」と思う人もいるでしょう。

しかし言われる相手を具体的にイメージすると自分の気持ちを想像しやすくなり、感じ方も変わってくるかもしれません。

友だちの○○さんに言われたら?親に言われたら?上司に言われたら?

具体的な人物に言われることを想像すると、それぞれ印象が変わってくるのではないでしょうか?

「この人になら言われても腹立たないけど、あの人に言われたらめっちゃ腹立つ!」とか、必ずあると思います。

  • 自分が言われたら嫌なことを言われたらどう感じるか考える

「誰に言われようとも同じことを言われるのであれば感じ方は同じだ」という方もいるかもしれません。

では、自分が言われたら嫌なことを言われたらどうでしょうか?

嫌ですよね。嫌なことというのは人によって違います自分が言ったことは、自分が言われても嫌じゃないけど、相手にとっては嫌なことかもしれません。

そう考えれば、言葉を発する前に一瞬の考える間が生まれるでしょうコミュニケーションにおいては、相手のことを考えるその間が大事なのです。

  • まずいことを言ったかもと気づいたらすぐに謝ったりフォローを入れる

これがとても大事なことです。

いくら考えても、頑張ってもコミュニケーションが上手くいかないことは誰にでもあります。

ASDの人も自分の発言の何がいけなかったかまでは分からなくとも、自分の発言以降どうやら相手が気分を害したらしいことや、場の空気が(悪く)変わってしまったことは分かる人も多くいます。

しかし言語外の雰囲気に対しては重要性を低く見積もってしまい「まあいいか」「次の機会に頑張ろう」などと考えて実質的に放置状態にしてしまうことが多いです。

対処法が分からないまま今まで過ごしてきた人もいるでしょう。

こんな時は何が悪かったのか分からなくてもフォローの気持ちを表現することが大切です。

「なんか気分を害するようなこと言ってしまってたらごめん」「雰囲気を壊しちゃってごめん」など、抽象的な言い方で問題ありません。但し、くれぐれも言い訳から入らないように注意して下さい。理由の説明がしたくても、それを先に持ってくると言い訳っぽく聞こえてしまいます。

また、ASDについて理解のある人が身近にいる場合は、自分のどんな発言が他者の気分を害してしまうのか、具体的に聞いてみるといいでしょう。

  • 定型者は感情を大切にしていることを理解する

ASDの人は感情よりも事実をベースに物事を考えたり組み立てていく思考をするタイプですが、定型発達の人は感情をとても大切にする価値観を持っています。

ASDの人にはよく理解できなくても、「彼らはそういうもんだ」程度に適切な心の距離で認め、接することが大切です。

支援者側の対策

  • 悪気(悪意)はないことを心に留めておく

定型発達の人は相手の感情に敏感です。それが悪意ともなれば危機管理上なおさら敏感になるでしょう。

しかし、定型発達的には「その発言には悪意がある」としてもASD的には全く悪意がない場合が多いです。

もちろん絶対ではないでょうが。

難しいことですが、ASDの人の発言には悪意どころか感情も乗っかっていない「ただの言葉だ」というとらえ方が出来るようにトライしてみましょう。

  • 相手にどう受け取られるのかフィードバックを行う

「そんなことを言われたら○○な気持ちになるよ」という形で伝えましょう。

そう伝えたとき、もしASDの人が「そんなことない、それはあなたの考えすぎだ」といったような返事をしてきたら、先述のASD者側の対策を行えるようサポートしてあげて下さい。

また、「こんな風に言うと良い(言ってほしい)」という今後の実践に活かせるアドバイスも併せて伝えると良いでしょう。

まとめ

思ったことをストレートに言うというひとつの事象に対してもこれだけの原因があり、対策も簡単にはいかないことだということが分かったと思います。

とはいえ、簡単にまとめてしまえば「しっかり伝え、正しく受け取る」、これだけのことなのですが。

価値観や伝え方、受け取り方に元々大きな違いがある者同士だとこれが本当に難しいことだと思います。

これを機に定型発達の価値観についても考えるきっかけにしてもらえたら幸いです。

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