ASDの人は思ったことをストレートに言うのでKY(空気が読めない)と言われたり、相手の気分を害してしまい人間関係が上手くいかない一因になってしまっているかもしれません。
これにはASDの特性による原因が様々あります。
人と人との価値観の違いにまで話が及びますので、しっかりと理解しておきたい項目となります。
前編ではASDの人が思ったことをストレートに言う原因について見ていきます。
原因
- 自分の発言によって相手がどんな感情を抱くか想像する力が弱い
定型発達の人は相手の感情を自然と想像できる人も多いと思いますが、ASDの人は自然とはできません。意識的に頑張って想像する必要があります。
そのため、無意識に強い言葉を使いすぎてしまう人もいるのです。
また、そもそもASDの人と定型発達の人では、受けた言葉や行為に対する感情の動きが全く違うかもしれません。
例えば、定型発達の人は問題点をオブラートに包んで伝えることで角を立てないようにして社会生活を保ちますが、ASDの人はあいまいな表現がよく分からないのでオブラートに包まれると「なんかごちゃごちゃ言われた」「はっきり言わないことで自分に責任が及ばないように逃げている」などのように感じてしまう場合があります。
なので、物事をストレートに伝え合うことで社会生活を円滑に保とうとし、思ったことをストレートに言うことに繋がっているのです。
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- 感情よりも目的達成(こだわりや信念)に価値を置いているため
ASDの人は「結果」「成果」「完成度」などといった評価基準を大切にしています。
もちろん定型発達の人もこれらは大切にしていますが、「過程」「みんなで」「頑張った」「楽しく」「ケンカせず(表面上争わず)」などにも大きな価値を感じているはずです。
その価値観の違いが言動の差に反映されている面もあるでしょう。
但し、他者と関わるうえでは、こだわりや信念が独りよがりにならないように留意する必要があります。
- 他人の感情を読み取り想像する力が弱い
ASDの人はそもそも、他者の表情や態度、雰囲気などから感情を読み取る力が弱いです。
ASDの特性とは別ですが併発しやすい特性として「相貌失認」というものがあります。
これは簡単にいうと「人の顔の区別がつかない(つきにくい)」という特性です。
こういったものによる影響も考えられます。
想像力の問題に辿り着く以前に何か原因がある可能性もしっかり考えていく必要があります。
- 事実は口にしても問題ないと考えている
高い結果や成功を求めるために事実を直視することが大切だと思っているASDの人は多いように感じます。これは価値観の部分です。
しかし一方で、精神的な幼さや経験不足に特性が重なっている人がいることも考えられます。
定型発達の人は「経験から自然と学ぶ」ということができる人も多いですが、ASDのひとにとってそれは得策ではありません。時には他者からの指摘が必要です。
例えば自分は瘦せていて、太っている他者には「デブ」と言うが、薄毛の自分に対して他者から「ハゲ」と言われて怒るのであれば、「事実は口にしても問題ないと考えている」というよりも他者の立場に立てない幼さのほうが勝っていると言えるでしょう。
価値観なのか幼さなのか、それらの複合なのかをしっかりと見極めることが大切です。
- ADHD併発の衝動性による場合もある
ASDの人はADHDも併発している場合が多々あります。
ADHDの場合は考えるより先に言葉が出てしまう形になり、ASD由来のものとは違いますので対策も変わってきます。
どういう内面の機序で、思ったことをストレートに言ってしまうのか、しっかり見極めることが肝心です。
後編へ続く
ASDの人が思ったことをストレートに言う原因について見てきました。
次回の後編では本人、支援者それぞれの対策について見ていきます。
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